関数電卓博物館

タイガー計算機

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メーカー タイガー 10/03/04初出
型式 不明(ダイヤル桁数10×11×20)   
発売年 1965?  
販売価格 \35,000- 参照:タイガー手廻計算器資料館
動力 人間  
表示方式 機械式ダイヤル  
コレクション
付属品
なし

関数電卓では無いのだが,どうしても自慢したくて掲載.学生の一人が,『父が昔使っていた計算器です』と言って持ってきてくれた.研究室の「守り神」として鎮座している.もちろん,ここに登録されているからには完動品で無くてはならないが,機能は衰えていない.

ハンドルを回すと計算する、マジで。ちょっと 感動。現代のエレクトロニクス製品に慣れた我々には,動力を持たない機械がこれほど複雑な動作をする,ということがどうにも信じられない.

できる計算は加減乗除のみだが,除算に関してはかなり高度なテクニックが必要.一方,加減算はとっても簡単.まず下の結果窓をリセット,つぎに右上のつまみをずらして数値窓に足したい数値の一つを入れハンドルを一回転すると下の窓にその数値がコピーされる.もうひとつの数値を上の窓にセット,ハンドルを回すと,下の窓には加算の結果が得られるという寸法だ.減算はご想像の通りハンドルを逆回転させる.

ハンドルの動きは一言で言えば「堅実」だ.内部でギアとカムとスライドピンが複雑に噛み合う感触が指先に心地よいキックバックを与えてくれる.ハンドルをちょうど一回転したところでラッチがかかる機構など,ある目的のために作られた機械としては成熟の極にある.

当然,当時の日本のエンジニア達はこれら計算器の力を借りて研究開発に勤しんだことだろう※.そういう意味では,機械式計算器は計算尺とならんで関数電卓の両親と言って良い.

インターネットのおかげで,こんな昔の計算器でも情報の入手には困らない.Googleで調べたら,製造元の(株)タイガーに「タイガー手廻計算器資料館」なるサイトがあり,ここに歴史から使い方まで詳しいことが掲載されている.

ちなみに,たまたま本ページを訪れて機械式計算器に興味を持った方はこちらのサイト「機械式計算機の会」をご覧になると良いと思う.

個人的には「クルタ計算器」に熱い思いがあるのだが,手に入れる方法はあるのだろうか.日経サイエンスの記事が感動的である.

※英語の"calculator"は,昔は手動式計算器を回す職人さんを指す言葉だったそうだ.