関数電卓博物館
CASIO fx-102
メーカー | CASIO | 09/04/03初出 09/04/12追記 |
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型式 | fx-102 | ||
発売年 | 1976年 | ||
販売価格 | \12,500- | 参照:fx Series (Casio) | |
動力 | 単三×4 or ACアダプター | ||
表示方式 | 蛍光表示管 | ||
コレクション 付属品 |
ソフトケース,マニュアル | ||
実にシンプルなユーザーインターフェース.当時の関数電卓のスタンダードで,角度モード切り替えはメカニカルスイッチだ.[2ndF]キーが無いにもかかわらず,重要な関数は一通りそろっている.現代の関数電卓も見習いなさい,と言おうと思ったらこの電卓,肝心なキーが無い.括弧機能がないのだ. 括弧機能を装備すると言うことは,複数の演算スタックを持ち途中経過を保存する必要があるということ.この当時,このクラスの関数電卓には不要と割り切られたのだろう.計算尺にはスタックなど無いから,「電子計算尺」としての地位を与えられていた関数電卓に括弧機能が無くとも当時は受け入れられていたと見られる. 基本的な使い方は現代の「標準電卓」とさほど変わらない.しかし,括弧機能が無いと言うことは,演算子の優先順位を考慮した「棚上げ」も出来ないと言うこと.以下の計算 2+3×4=? の答は,普通の電卓と同様「20」となる.また,スタックの棚上げが出来ないと言うことは,以下のような計算もそのまま打ってはダメ,ということだ. sin(30°)+sin(30°)=? この計算を正直に, [3] [0] [sin] [+] [3] [0] [sin] [=] と入力すると答は「0.5」となる.前半の答を忘れてしまうのだ.まさに計算尺.では,例えば log2+log3=? はどうするかというと, [2] [log] [+] [3] [log] [=] ではなく [2] [log] [M+] [3] [log] [M+] [MR] とすればよいのだ.ここで今,はたと気がついたのだが,現代でも日本の関数電卓で[M+]キーがデカい顔をしているのは,こういうルーツがあったのか.盲腸(虫垂)の由来を発見したような気分.的はずれの推測かも知れないが,意外に当たっているのでは? もうひとつユニークなのは,[x^y]キーの動作だ.「2^3」を計算したければ「標準電卓」と同様 [2] [x^y] [3] [=] と打てば良いが(イコールキーが必要な点が異なるが),[x^y]を打った瞬間表示部に「ln2」の解,「0.69314718」が現れる.始めは「操作を間違ったか?」と思ったが,[3] [=]をキーインすると,「8」を得る.想像するに,この電卓は[x^y]を計算するのに「x'=ln(x)」をもとめ,yx'を計算してその指数を取っているのだろう.舞台裏を見せてしまうところがなかなかチャーミングである. |