関数電卓博物館

SHARP EL-5002

 

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メーカー SHARP 14/06/11初出
型式 EL-5002   
発売年 1978  
販売価格 \10,800-  
動力 単三×2 or ACアダプター  
表示方式 蛍光表示管  
コレクション
付属品
化粧箱,合成皮革ケース,マニュアル  
兵庫県にお住まいのS氏より寄贈を受ける.EL-5001から始まり,EL-5003まで続くこのラインアップは,関数電卓の歴史において重要な位置づけを持つ.EL-5001は,ダイヤル式の機能切り替えスイッチと側面のモードスイッチを持ち,蛍光管表示方式の,旧世代関数電卓の最後の機種に位置づけられる.CASIO fx-3からわずか2年でよくぞここまで進化したとは思うが,ハードウェアの構成は大きくは変わらない.

1年後に発売された本機は,ダイヤル式の機能切り替えスイッチを排し,3割のコストダウンに成功する.一部の機能は廃止されたが,座標変換や統計モードの表示などは「裏関数」に割り当てられるようになった.EL-5001の画像と比べれば,キー上の茶色表示がかなり増えていることがわかる.ここから,関数電卓の「ソフトで機能を盛る」流れがスタートしたと言って良いだろう.

更に,1980年発売のEL-5003は表示が液晶になり,モード切り替えのハードスイッチが廃止され,すべての機能がソフトで実行されるようになる.液晶の採用により電池寿命が大幅に延長され,ハードウェアスイッチ廃止により故障が減り,製造コストが更に下がった.

EL-5003が,機能的には現代の「標準電卓」に比べ何ら劣っていないことを考えれば,関数電卓の進化はEL-500xの枝番の異なる3機種により,わずか3年で達せられたことになる.ちょうどこの頃は「電卓戦争」と呼ばれた熾烈なシェア争いによりメーカーの淘汰が進んでいた頃で,おそらくSHARPのこの矢継ぎ早の新製品の攻勢に対抗できるのは一部大手電機メーカーのみであったと推測される.

本機は,側面のモード切り替えスイッチと蛍光管表示が時代を感じさせるが,搭載された機能は現代の大学教育において必要とされる十分なものを持っている.

本機の特徴として,数式の記憶機能が挙げられる.8セグメント表示の電卓でこの機能を活用するのは骨が折れる作業だが,本機は機能を絞ることにより十分実用的としている.使い方は側面スイッチで[LRN]モードにして数式を入力,この際変数を[(x)]で指定する.モードを[COMP]に切り替え,[COMP]キーを押せば記憶された数式が利用可能となる.「数式通り」電卓の,解の再利用くらいには使える機能である.

一方で,この機能のため各種試験への持ち込みが禁止され,S氏も「すぐに使用をあきらめ,EL-5003を購入した」とのことである.そのため,寄贈を受けた本機は状態がとても良く,新品の輝きを維持している.

演算の優先順位は「掛け算優先」で,メモリはEL-5001独立メモリーとストアメモリーx6の合計7個となり,大幅に増強された.39ステップの数式を記憶する機能といい,この1年でメモリーの価格が大きく下落したことが推測される.