関数電卓博物館

CASIO fx-1

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メーカー CASIO 11/03/01初出
型式 fx-1  
発売年 1972年  
販売価格 \325,000  
動力 AC100V  
表示方式 ニキシー管  
コレクション
付属品
なし
ついに,ねんがんのfx-1を手に入れた.日本初の卓上型関数電卓である.入手の経緯は別記事にまとめたが,実にラッキーなことに完動品,完全オリジナルでコンディションも最高である.

もう,コイツについては多くは語らない.ただ動くモノが手元にある,と言うそれだけで凄いのだ.

表示部のニキシー管は真空管の一種.0~9の数字の形をしたカソードがあって,通電するとオレンジ色に光る,というアナログな表示装置だ.表示は意外なほど見やすい.

計算速度はとても遅い.四則演算ですら一呼吸.8の3乗根の計算をやらせてみたムービーがあるからご覧頂きたい.表示がチカチカとまたたくのが大変チャーミングである.


この当時,三角関数を3桁以上の精度で知るには百科事典の様な三角関数表を繰るか,何百万円もするコンピューターを買うしかなかった.32万という価格(当時の大卒初任給の4ヶ月分くらい)で手に入り,机の上に乗り,ボタンを押せば三角関数の値がわかる機械の登場というのは画期的なことであった.

しかし,ここからたった2年で,手のひらに乗って価格が24,800円のfx-10が発売される.当時の技術開発のスピードは現代とは比較にならないほど早く,メーカーにとっては過酷な状況であったことだろう.

日本の電卓の歴史については,国立博物館から大変良い資料が提供されているのでご一読頂きたい.

産業技術資料情報センター 「電子式卓上計算機技術発展の系統化調査」