関数電卓博物館

SHARP EL-5003

 

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メーカー SHARP 14/06/11初出
型式 EL-5003   
発売年 1980  
販売価格 不明  
動力 単三×2  
表示方式 LCD  
コレクション
付属品
なし  
兵庫県にお住まいのS氏より寄贈を受ける.EL-5002の後継機種.表示がCLDとなり,電池寿命の心配が無くなった.当然,本モデルから外部電源端子は廃止となる.

電源スイッチ以外の全てのスイッチがソフト化された.現代の「標準電卓」タイプ関数電卓の直系の先祖が本モデルである.使い勝手は「標準電卓」のCanon F-500あたりとそれほど変わらず,十分実用的である.実際,S氏は購入以来30年にわたってこのモデルを使い続けてきたのだそうだ.

ただし,計算速度は現代のモデルと比べると猛烈に遅い.69の階乗には6秒弱かかる.

うっかり電源の切り忘れを防ぐため,本機には自動電源off機能が備わる.現代では当たり前のこの機能も,LCD以前のモデルには存在しない.反射型ディスプレイでon/offがわかりにくいと言うこともあるし,そもそも蛍光管のモデルはあっという間に電池が無くなるため,計算が終わったらすぐ電源をoffにになくてはならず,自動off機能の必要性は低い.

搭載されている関数は現代の「標準電卓」とほぼ同じ.先代EL-5002に存在したストアメモリーは廃止された.関数電卓の試行錯誤も,ようやくここにきて完成を見た,とも言える.良く見るとΔ%という現代の電卓には存在しない裏関数が存在するが,これは2つの数の「相対比」を計算するコマンドだ.例えば,ある信号が1.25Vから1.42Vに増加した時,増加率を求める計算は以下のとおり.

1.42 [-] 1.25[Δ%]   答:13.6%

このコマンドが無ければ,引き算を実行してから1.25で割るか,あるいは式を変形して1.42÷1.25-1とやるかのどちらかである.理学・工学においてこの計算を行う機会は実に多いと思うのだが,このコマンドが現代の関数電卓から消えてしまった理由は何なのだろうか.