電磁場(SP)

レポート提出の注意事項

  •  レポート課題は締め切り日の13:25までにLMSを利用して提出のこと.講義教室でも直接受領する.
  • レポート課題はA4の用紙を使用して解答のこと.表紙は不要
  • 単一のPDFファイルを作り,LMSの指示された場所にアップロードするか,教室に持ち込んで提出のこと.レポート提出ボックスは使用しない
  • ※オンライン提出の場合,判読が難しいレポートは採点されないことがあるので,レポートのPDF化に関する解説を良く読んで,更に,いちど自分でPDFファイルをプレビューしてから投稿すること.

レポート課題1 出題 05/06 〆切 05/20

(1) 「真空中に,無限に長い半径$a$の円柱があり,一様な密度$\rho$で電荷が詰まっている.全空間の電場を求めよ」という問題がある.この問題の解き方を解説しなさい.必ず,挿絵を入れ,読者が解法をイメージできるようにすること.

(2) 真空中に,半径$a$の導体球があり,電荷量$Q$に帯電している.系の静電エネルギーを,次の2通りの方法で求め,両者が一致していることを確かめよ.
(ア) 静電エネルギーの定義式$\displaystyle \frac{1}{2}\iiint \rho(\vr) \phi(\vr) \rd V$を用いる.
(イ) 全空間の電場エネルギーを積分する.

  


解答及び解説:

今年は,例年よりかなり易しい課題となった.代わりに,ただ教科書やネットの情報を写しただけでは正解にならない,「解き方」を採点の対象とした.これで,真面目に勉強している人と,そうでない人をふるい分けられると良いのだが...

(1) 問題は,教科書にも出ている標準的なもの.解法をStep1からStep4に分解,挿絵を描き,円柱の中,外を場合分けして,ガウスの法則を適用し,答えがあっていれば正解.

Step1:系の対称性から電場分布を想像する.系は円柱対称なので,電気力線は 円柱に対して垂直に飛び出し,電場の強さは円柱と同心の円周上では一様と考えられる.そこで,系の対称性を考え,ガウス面を図のような半径$r$,長さ$L$の円柱面とする.


図1: 対称性の議論から想像される電場の様子とガウス面

Step2:ガウス面を貫く電束を計算する.円柱の側面上の電束は面に垂直,かつ一様なので,これを$\vD$と仮定すれば,電束$\Phi_{\rm e}$は \begin{eqnarray} \label{eq1} \Phi_{\rm e}  = 2 \pi r L D \end{eqnarray} である.このとき,上下面からは電束が飛び出していないので,面積分はゼロであることに注意せよ.

Step3:いま,ガウス面は電荷の外側にあるとする.すると,面に囲まれた電荷は図から直ちに \begin{eqnarray} \rho \pi a^2 L \end{eqnarray} である.

Step4:ガウスの法則を使い,電場は \begin{eqnarray} 2 \pi r L D &=& \rho \pi a^2 L\\ \nonumber D &=& \frac{\rho a^2}{2 r}\\ E &=& \frac{\rho a^2}{2 \epsilon_0 r} \end{eqnarray} と求まる.

次に,ガウス面を電荷の内部に取る.

Step3:電束の計算は式($\ref{eq1}$)と同じだが,ガウス面に囲まれる電荷量は \begin{eqnarray} \rho \pi r^2 L \end{eqnarray} である.

Step4:ガウスの法則を使い,電場は \begin{eqnarray} 2 \pi r L D &=& \rho \pi r^2 L\\ \nonumber D &=& \frac{\rho r}{2}\\ E &=& \frac{\rho r}{2 \epsilon_0} \end{eqnarray} と求まる.

まとめると,電場の大きさは \begin{eqnarray} (r < a) : E &=& \frac{\rho a^2}{2 \epsilon_0 r}\\ (r > a) : E &=& \frac{\rho r}{2 \epsilon_0} \end{eqnarray} である.$r=a$のときはどちらで計算しても値は一致する.

(2) 教科書p96の例題とほとんど同じ.唯一の違いは,電荷が球表面に分布すること.

まず,球表面の電位を求める.ガウスの法則からただちに,球の外側の電場は \begin{eqnarray} E =\frac{Q}{4\pi \epsilon_0 r^2} \end{eqnarray} である.無限遠方を基準として,表面の電位は積分すれば \begin{eqnarray} \phi =\frac{Q}{4\pi \epsilon_0 a} \end{eqnarray} である.電荷系エネルギーの積分,$U_{\rm e} = \displaystyle \frac{1}{2}\iiint \rho(\vr) \phi(\vr) \rd V$ は,$\displaystyle U_{\rm e} = \frac{1}{2}Q \phi$と簡単な計算となる.答えは \begin{eqnarray} U_{\rm e} =\frac{Q^2}{8\pi \epsilon_0 a}. \end{eqnarray}

次に,電場の積分でエネルギーを求める.導体球の内側に電場は存在しないから,積分は教科書p99の計算の,外側のパートのみを計算すればよい. \begin{eqnarray} U_{\rm e} &=&\frac{\epsilon_0}{2}\int_a^\infty \left(\frac{Q}{4\pi \epsilon_0 r^2}\right)^2 \cdot 4 \pi r^2 \rd r \nonumber\\ &=&\frac{\epsilon_0}{2}\int_a^\infty \frac{Q^2}{4\pi \epsilon_0^2 r^2} \rd r \nonumber \\ &=&\frac{Q^2}{8\pi \epsilon_0 a} \end{eqnarray} となり,両者の計算結果が一致することが示された.

全問正解をA,1問正解をBとして,細かい評価で+/-を付与.

(1)は「問題を解く」ことでなく,「解き方を解説する」ことが要求される.したがって,以下の要素が最低限必要となる.
    a. 対称性の議論と,結果として予想される電場分布の表示
    b. ガウスの法則をどのように使って解くか,文章による説明
これらを評価基準として○△×で評価.

(2)は,残念なことに,殆どの人が一様な電荷密度(教科書と同じ)と思って計算していた.レポートなんだから,そんな「ただ写すだけ」の課題が出るわけ無いでしょう.これが遠隔講義のせいだとしたらあまりに悲しい.

模範解答は →こちら

レポート課題2 出題 07/01 〆切 07/15

(1) 「真空中に,図のような矩形断面のトロイダルコイルがある.巻数は$N$とする.ここに電流$I$を流したとき,アンペールの法則を用いてコイル内部,外部の磁場を求めなさい」という問題がある.この問題の解き方を解説しなさい.
解説図は,このページの挿絵をコピーして使用すること
.また,前回レポートで多かったのは,「求められているのは解答でなく解き方の説明である」ことを理解していないものであった.今回は充分注意の上解答のこと.
解説の際,

  1. 磁場は電流に直交して発生するから,コイル内部も,外部も,磁場はトロイドを巻くように発生することは間違いない
  2. 対称性の議論から,$z$軸を中心とした,$(x-y)$平面と平行な円 周上で磁場はどこでも一様

という事実を使うこと.

(2) このトロイダルコイルの自己インダクタンスを求めなさい.

(3) このトロイダルコイルに電流$I$が流れているときの系のエネルギーを,単位体積あたり磁場エネルギーを全空間で積分する方法で求め,それが,磁場エネルギーの公式$\displaystyle \frac{1}{2}LI^2$と一致することを示しなさい.


解答及び解説:

(1)

Step1: 図のような,トロイダルコイル内部にあり,$z$軸に中心を持ち,$x-y$平面に平行な半径$r$の円を考える.磁場は電流に直交して発生するから,磁場はトロイドを巻くように発生するはずである.対称性の議論より,トロイダルコイル内部の磁場は円周の方向,かつ円周上では一様と考えられる.大きさを$H$と仮定する.

Step2: したがって,円周上で磁場の強さ$\vH$を周回積分すれば,(磁場と線積分方向が一致し,かつ$\vH$が一様な大きさのため)
\begin{eqnarray} \oint \vH\cdot \rd\vs &=&2 \pi r H \end{eqnarray}

Step3: 周回路が囲む電流は題意より$NI$である.

Step4: アンペールの法則を使い, \begin{eqnarray} 2\pi r H &=& NI \nonumber\\ H &=& \frac{NI}{2\pi r} \end{eqnarray}
を得る.向きは円周を回る方向である.トロイダルコイル内部は真空なので,磁束密度の大きさは \begin{eqnarray} B = \frac{\mu_0 NI}{2\pi r} \end{eqnarray} で与えられる.

次に,トロイダルコイル外部に,同様に$z$軸に中心を持ち,$x-y$平面に平行な半径$r$の円を考える.この場合も,対称性の議論から,磁場はこの円周に沿って発生するはずである.しかし,トロイダルコイルコイル外部に取った円を電流が貫くことはないため,アンペールの法則から,トロイダルコイル外部には磁場が存在しないことがわかる.

トロイダルコイルの外側に,下図のように積分路を取った場合はどうだろうか.この場合,積分路をヘリとする平面Aをとれば面を電流が貫くが,方向が逆の電流が同数あるので正味ではゼロになる.また,面は平面というルールはないので,面をBのように取れば,貫く電流はゼロにできる.どちらにしても,トロイダルコイルの「外」に取った円は常にトロイダルコイルを避ける面が定義できるが,「内」に取った円はコイルを避けることができない.例えるなら,ドーナツの穴を貫くように親指と人差指で輪を作ったら,ドーナツを食べるか,指を離さないとドーナツを外すことができない.このような考え方を「トポロジー」と呼ぶ.

(2) 磁束は図のようにコイルを回る方向に発生する.

断面の磁束は以下の積分で求められる.
\begin{eqnarray} \Phi_{\rm m} &=& \int_0^h \int_a^b \frac{\mu_0 NI}{2\pi r} \rd r \rd z \nonumber \\ &=& \frac{\mu_0 N I h}{2\pi}\int_a^b \frac{1}{r} \rd r \nonumber \\ &=& \frac{\mu_0 N I h}{2\pi}\ln(b/a) \end{eqnarray}

電流は磁束を$N$回巻いているから,自己インダクタンスは
\begin{eqnarray} L &=& \frac{N \Phi_{\rm m}}{I} &=& \frac{\mu_0 N^2 h}{2\pi}\ln(b/a) \end{eqnarray}

(3) コイルが蓄えるエネルギーを,内部の磁場の積分で求める.磁場は$z$方向,円周方向に一様なため,微小体積要素を厚さ$\rd r$,高さ$h$の薄い円環として,以下のように積分する.

\begin{eqnarray} U_\rm m &=& \int_a^b \frac{\mu_0 H^2}{2} 2 \pi r h \rd r\label{2-(3)} \\ &=& \int_a^b \frac{\mu_0}{2}\left(\frac{NI}{2\pi r}\right)^2 2 \pi r h \rd r\nonumber \\ &=& \frac{\mu_0 N^2 h I^2}{4\pi}\ln(b/a) \end{eqnarray}
これは,自己インダクタンスが(2)で求めた値,$\displaystyle \frac{\mu_0 N^2 h}{2\pi}\ln(b/a)$のコイルに電流$I$を流したときのエネルギーに等しく,題意が示された.

採点基準は以下の通り.

(1)は以下の4つの要素が含まれていれば正解とする.
    a. 対称性の議論を行っていること.
    b. ループ積分の積分路が図に示されていること.断面図に半径$r$を書いたものは不可.
    c. $\displaystyle \oint \vH\cdot \rd\vs =2 \pi r H $である理由を説明していること.
    d. コイル内部,外部で場合分けをしていること.

(2)は答えさえ合っていれば正解.

(3)は三次元の体積積分(式$\ref{2-(3)}$)の形を示していないものは答えが合っていても不正解.

全問正解をA,2問正解をB,1問正解をCとして,部分点を考慮した.以下は特に優秀なレポート.それぞれ個性があり,甲乙つけがたい3人を代表とした.自分の解答には何が足りなかったのかを比べてほしい.
優秀レポート1 優秀レポート2 優秀レポート3