・自由表面モデルへの挑戦


 本研究室の研究テーマの一つが,マグネシウム合金のレーザー加工である.そして,アシストガスの当て方によってドロスフリー切断が得られるという結果を既に得ている.このメカニズムを説き明かすために,昨年度はPhoenicsを使いアシストガスの流れを計算させた.


2002年度秋期応用物理学会学術講演会発表スライドより

 上の計算では,ガスの流れのみを追いかけていれば良かったので,特に難しいモデル化は必要なかった.今年度は,更に流体金属の動きを模擬する計算をしようと思い立った.必要な条件は最低限,

である.PhoenicsのSEM自由表面モデルが上記条件に当てはまることがわかったので,これを使うことにした.

 で,このページの目的は,「何もないところから目的を達成するまでの試行錯誤」をライブでお見せしようと言うものである.私も,Phoenicsによる自由表面モデルははじめての経験で,しかも,マニュアルによると実時間解析が必須とある.これも,はじめての経験である.このページを書き始めたとき,既に計算が出来そうな目処が立ったので,改めてはじめのころを思い出し,これから自由表面モデルでの解析を考えている人たちに「どのような試行錯誤でここまで来たか」というノウハウ的な情報を提供しようという目的である.
 お断りしておくが,このページはPhoenicsの使い方についての情報を提供するページなので,技術的背景はなるべくTechnical manuaにお任せというスタンスをとらせて頂く.従って,「SEM自由表面モデルとは何か」といったことはこのページでは触れない.Phoenicsを持っていない人は,CHAM社が相当詳しい技術情報をweb上で公開しているので,こちらを参照して頂きたい.

第1回 まずは,液体を落としてみよう

第2回 カーフ周りの流れ

第3回 表面張力は存在するか?

第4回 横からガスを吹いてみよう

第5回 実カーフ条件で仮想『水シミュレーション』-失敗

第6回 もう一度基本に戻る-ガスで押される液体

第7回 SEMモデルに表面張力??

以降は「05/01/21 レーザー加工への適用の試み(自由表面モデル)」に続く