電磁場(SP)

レポート提出の注意事項

  •  レポート課題は締め切り日の17:00までに物理学科事務室ポストに提出のこと.授業開始時,授業終了時にも受け付ける.
  • レポート課題はA4の用紙を使用して解答のこと.表紙は不要.手書きの場合はレポート用紙の使用を推奨する.

レポート課題1 出題 05/17 〆切 05/24

図のように,真空中に,距離\(R\)離して,長さ\(\ell\)の2本の線電荷を平行に置いた. 線電荷密度はどちらも\(\tau\)である.以下の問いに答えよ.

(1) 図のように座標系を取る.右側の電荷の\(z=z_0\)の位置に,左側の電荷がつくる電場の\(x\)成分を答えよ.

(2) 電荷は互いに斥力を及ぼし合う.大きさを求めよ.

(3) \(\ell\)が\(R\)に比べて充分大きいとき,電荷が互いに及ぼし合う力の大きさを求めよ.

(4) (3)の答を,ガウスの法則を用いて解答せよ.

ヒント:(1)は教科書p50の演習問題の応用.(2)は難問なので,自信のない人はパスしてよい.(4)は(1)~(3)が解けなくても解答できる.


解答及び解説:

(1) 下図のように,左側の電荷の短い区間\(\rd z\)が\(z_0\)の位置につくる電場の\(x\)成分は, \begin{align} \label{Q1-1} \rd E_x = \frac{\tau \rd z R}{4 \pi \epsilon_0 \left\{R^2+(z-z_0)^2\right\}^{3/2}} \end{align} と表される.

これを\(z=0\)から\(z=\ell\)まで積分すれば解を得る. \begin{eqnarray} \label{Q1-2} E_x(z_0) &=& \frac{\tau R}{4 \pi \epsilon_0}\int_0^\ell \frac{\rd z}{\left\{R^2+(z-z_0)^2\right\}^{3/2}}\nonumber\\ &=& \frac{\tau}{4 \pi \epsilon_0 R}\left[ \frac{z-z_0}{\left\{R^2+(z-z_0)^2\right\}^{1/2}}\right]_0^\ell\nonumber\\ &=& \frac{\tau}{4 \pi \epsilon_0 R}\left[ \frac{l-z_0}{\left\{R^2+(l-z_0)^2\right\}^{1/2}}+\frac{z_0}{\left(R^2+z_0^2\right)^{1/2}}\right] \end{eqnarray}

(2) 右側の線電荷の\(z\)点にある短い区間\(\rd z\)が左の線電荷から受ける力の\(x\)成分は, \begin{align} \label{Q1-3} \rd F_x = \frac{\tau^2 \rd z}{4 \pi \epsilon_0 R}\left[ \frac{l-z}{\left\{R^2+(l-z)^2\right\}^{1/2}}+\frac{z}{\left(R^2+z^2\right)^{1/2}}\right] \end{align} と書ける.これを,\(z=0\)から\(z=\ell\)まで積分すれば解を得る.力の\(z\)成分は系の対称性から消滅することが確実なので考えなくともよい.

正直に積分してもよいが,少し工夫すると楽になる.括弧の中の第1項は,\(z'\)を\(\ell-z\)と置けば, \begin{eqnarray} \label{Q1-4} \int_0^\ell \frac{l-z}{\left\{R^2+(l-z)^2\right\}^{1/2}} \rd z = \int_0^\ell \frac{z'}{\left\{R^2+z'^2\right\}^{1/2}} \rd z' \nonumber\\ \end{eqnarray} となるから,これは第2項の積分と同じ値となる.したがって,求めるべきは \begin{eqnarray} \label{Q1-5} F_x = \frac{\tau^2 \rd z}{2 \pi \epsilon_0 R}\int_0^\ell \frac{z}{\left(R^2+z^2\right)^{1/2}}\rd z \end{eqnarray} である.積分は簡単で, \begin{eqnarray} F_x &=& \frac{\tau^2 }{2 \pi \epsilon_0 R}\left[\left(R^2+z^2\right)^{1/2}\right]_0^\ell\nonumber\\ &=& \frac{\tau^2 }{2 \pi \epsilon_0 R}\left[\sqrt{R^2+\ell^2}-R\right] \label{Q1-6} \end{eqnarray} である.

(3) \(\ell>>R\)の条件では\eqref{Q1-6}は以下のようになる. \begin{align} F_x = \frac{\tau^2 \ell}{2 \pi \epsilon_0 R} \label{Q1-7} \end{align}

(4) ガウスの法則を使えば,無限に長い線電荷の発する電場は直ちに計算できて,以下の表式を得る. \begin{align} E_x = \frac{\tau}{2 \pi \epsilon_0 r} \end{align} ここで,線電荷は\(x\)軸に垂直で,\(r\)を電荷からの距離とする.ここに,もう一つの無限に長い線電荷を,平行に,距離\(R\)離して置く.電荷密度は同じく\(\tau\)とする.2個めの線電荷上に1個めの線電荷がつくる電場は \begin{align} E_x = \frac{\tau}{2 \pi \epsilon_0 R} \end{align} で,単位長さあたり,2個めの線電荷は1個めの線電荷から \begin{align} F_x = \frac{\tau^2}{2 \pi \epsilon_0 R} \end{align} の大きさの斥力をうけるから,長さ\(\ell\)あたりでは \begin{align} F_x = \frac{\tau^2\ell}{2 \pi \epsilon_0 R} \end{align} となる.\(\ell>>R\)の条件下では,$x=R$の位置で観測される電場は$\ell$が無限に長い場合に近いから,これは,\(R\)離して平行に置かれた長さ\(\ell\)の線電荷が互いに及ぼす斥力の近似表現である.そしてその表式は\eqref{Q1-7}に一致する.

(4)は,意外なほど正答率が低かった.ほとんどの学生が,「ガウスの法則で電場が計算できるのは無限に長い導体棒の場合のみ」であることに言及していない.いま求められているのは長さ$\ell$の導体棒だから,はじめに無限長導体棒同士が単位長さあたり及ぼし合う力を求め,そして$\ell>>R$のとき,有限の導体棒でも同じ関係が近似的に成り立つことを述べた解のみが正解.

(2)も,系の対称性から力の$x$成分のみを考えれば良いことに言及していない解がほとんど.これも減点の対象.レポートが成立する前提は,「何をやっているのか,採点者以外の者が読んでもわかること」.基準点は全問正解がA,(2)のみ不正解なものをB,(4)のみ正解をCとし,適宜加点・減点した.

 

レポート課題2 出題 07/04 〆切 07/19

図のように,抵抗が無視できる同軸円筒導体を長さ$L$の抵抗体で終端する.電流は外導体から抵抗体を通り,内導体を戻る.それに伴い抵抗体が発熱した.電流密度には対称性の議論が成り立つとして,以下の問に答えよ.

(1) 電流を$I$と仮定する.抵抗体内部の,半径$r$の円筒面(赤線)を通る電流密度を求めよ.

(2) 抵抗体の導電率が$\sigma$で一定のとき,抵抗体の電気抵抗を求めよ.

(3) 抵抗体の導電率が,\(\displaystyle \sigma(r)=\frac{\sigma_0 r}{a}\)と表されるとき,抵抗体の電気抵抗を求めよ.


以下は,(1)~(3)が解けて,かつ余力のある者だけが取り組むこと.

(a1) 抵抗体内部で一様な発熱密度を持ち,抵抗値が$R$になるような導電率の分布を示しなさい.

(a2) この抵抗体は,$\mu_{\rm r}\sim1$の常磁性体である.抵抗体内部の磁場分布を概略図示しなさい.

ヒント:(1)は誰でも解ける易しい問題.(2)は難しいようだが,典型的な問題なので,解き方がわからなければネットで調べる.(3)からが本番.


解答及び解説:

(1) 電流を面積で割ったものが電流密度.答は \begin{eqnarray} J=\frac{I}{2 \pi r L}. \label{Q2-0} \end{eqnarray}

(2) 電場は外円筒から内円筒に向かう方向である.ローカルな電場の大きさは,オームの法則$J=\sigma E$から求められる.これを$r=a$から$r=b$まで積分すると,内外導体の電位差が求められる. \begin{eqnarray} V &=& \int_a^b \frac{I}{2 \pi r L \sigma} \rd r = \frac{I \ln(b/a) }{2 \pi L \sigma} \label{Q2-1} \end{eqnarray}

あとは,オームの法則,$V=IR$から抵抗$R$を求めれば, \begin{eqnarray} R &=& \frac{\ln (b/a)}{2\pi L\sigma} \label{Q2-2} \end{eqnarray}

(3) 式(\ref{Q2-1})に,与えられた導電率を代入する.あとは同様に積分し,$I$で割ればできあがり. \begin{eqnarray} V &=& \int_a^b \frac{Ia}{2 \pi r^2 L \sigma_0} \rd r = \frac{I}{2 \pi L \sigma_0}\left(1-\frac{a}{b}\right) \\ R &=& \frac{1}{2 \pi L \sigma_0}\left(1-\frac{a}{b}\right) \label{Q2-3} \end{eqnarray}

(a1) 発熱密度は$\sigma E^2$,電場は式(\ref{Q2-0})とオームの法則を使って\(\displaystyle E=\frac{I}{2 \pi r L\sigma}\)である.これが,$r$に依存しない形になるためには,$\sigma$が$r^2$に反比例する関数とわかる. これを$\sigma = k/r^2$と置く.抵抗を計算すると, \begin{eqnarray} V &=& \int_a^b \frac{Ir}{2 \pi L k} \rd r = \frac{I}{4 \pi L k}(b^2-a^2) \\ R &=& \frac{1}{4 \pi L k}(b^2-a^2) \label{Q2-4} \end{eqnarray} を得る.あとは,これを$k$について解き,「導電率」は$k/r^2$であったことを忘れないようにする.次元が[1/($\Omega$m)]になっていることもチェック. \begin{eqnarray} \sigma(r) &=& \frac{1}{4 \pi L R}\frac{b^2-a^2}{r^2} \label{Q2-5} \end{eqnarray}

(a2) 対称性の議論とアンペールの法則から,以下のことが言える.

  1. 無限長同軸導体を流れる電流が作る磁場は,内外導体に挟まれた領域にのみ存在し,導体を回るように発生する.
  2. 導体を流れる電流は,抵抗体に差し掛かると徐々に減っていき,終端でゼロになる.
  3. したがって,導体終端より先には磁場は存在しないだろう.
  4. 内導体を円形に囲む経路でアンペールの法則を適用するとき,外導体から内導体に向かう電流は積分路に囲まれないため無視できる.

これらを総合すると,下図のような磁場分布が想像できる.

$a<r<b$,$0<z<L$の磁場を$r,$$z$の関数で表せば,\(\displaystyle B(r, z) = \frac{\mu_0Iz}{2 \pi rL}\)となるだろう.

面白いのは,抵抗体を流れる電流でアンペールの法則を適用しても,同じ結論に達するということである.これは,宿題としておこう.