電磁場(SP)

レポート提出の注意事項

  •  レポート課題は締め切り日の17:00までに物理学科事務室ポストに提出のこと.授業開始時,授業終了時にも受け付ける.
  • レポート課題はA4の用紙を使用して解答のこと.表紙は不要.手書きの場合はレポート用紙の使用を推奨する.

レポート課題1 出題 05/09 〆切 05/23

図1

(1) 図1のように,\(x\)-\(y\)平面に,無限に広く,電荷密度\(\sigma\)[C/m\(^2\)]の面電荷がある.\(z\)軸上,(0, 0, \(d\))の位置の電場をガウスの法則を使い求め,デカルト座標で成分表示せよ.

図2

(2) 図2のように,\(x\)軸に沿って,\(-L\)から\(+L\)の範囲に電荷密度\(\tau\)[C/m]の線電荷がある.\(z\)軸上,(0, 0, \(d\))の位置の電場の大きさを求めよ.
※わからないときは教科書1章の演習問題を見てもよい.

(3) (2)において,\(L\)が無限に大きいときの表式を求めよ.

図3

(4) 図3のように,\(x\)-\(y\)平面に,\(x軸方向には\)無限に長く,\(y\)が\(-L\)から\(+L\)の範囲に,電荷密度\(\sigma\)[C/m\(^2\)]の面電荷がある.\(z\)軸上,(0, 0, \(d\))の位置の電場の大きさを求めよ.
※図4のように,面電荷を,横幅\(\rd y\),電荷密度\(\sigma \rd y\)の無限に長い線電荷とみなし,(3)の解を活用せよ.不定積分\(\displaystyle \int\frac{d}{{d^2+y^2}}\rd y=\tan^{-1}\left(y/d\right)\)を使っても良い.

図4

(5) (4)において,\(L\)が無限に大きいときの表式を求めよ.


解答及び解説:

(1) ガウスの法則を使った,標準的な問題.解法は教科書p60,あるいは「穴埋め電磁気学」p28.答えは\(\displaystyle \left(0, 0, \frac{\sigma}{2 \epsilon_0} \right)\).

正解に至らない解答が多く見られた.まず,これはレポートなので,解のみが合っているものは正解とはみなさない.定義されない変数,例えば$S$がいきなり登場するような解は減点.つぎに,「デカルト座標で成分表示」ができていない解も減点とする.

(2) これも,分布電荷が作る電場の,典型的な問題.図5のように,線電荷を長さ\(\rd x\)の小片に切り,各々の小片が(0, 0, \(d\))につくる電場を考える.

\begin{eqnarray} \rd E = \frac{\tau \rd x}{4\pi \epsilon_0 (d^2+x^2)} \end{eqnarray}

系の対称性から,電場は\(z\)成分のみが残るので,あらかじめ\(z\)成分を計算しておく.

\begin{eqnarray} \rd E_z =\rd E\frac{d}{\sqrt{d^2+x^2}} = \frac{d\tau \rd x}{4\pi \epsilon_0 (d^2+x^2)^{3/2}} \end{eqnarray}

これを\(-L\)から\(+L\)まで積分.

\begin{eqnarray} E_z &=&\int_{-L}^{+L} \frac{d\tau \rd x}{4\pi \epsilon_0 (d^2+x^2)^{3/2}}\\ \nonumber &=& \frac{\tau }{4 \pi \epsilon_0 d}\left[\frac{x}{\sqrt{d^2+x^2}}\right]_{-L}^{+L}\\ \nonumber &=& \frac{\tau L}{2 \pi \epsilon_0 d\sqrt{d^2+L^2}} \end{eqnarray}

困難な不定積分だが,教科書1章問題5と同じなので,読めばわかる.多くの教科書では,変数を\(\theta\)に変換,積分を楽にするテクニックが使われている.

どこかから見つけてきた解答を中途半端に写したものは減点あるいは不正解とした.まず,$\vE$と$E_z$の区別がついていないものは不正解.対称性の議論なく,いきなり$E_z$の計算を始めるものは減点とした.

図5

(3) \(L\)を無限に大きくしていくと平方根の中が\(L^2\)に近似でき,これは分子の\(L\)と打ち消し合うから,答えは

\begin{eqnarray} E_z &=&\frac{\tau}{2 \pi \epsilon_0 d} \end{eqnarray}

ガウスの法則を使えば簡単に求められるので,検算すること.

なぜか,(2)の積分計算から出発して,積分範囲を無限とした解が多数.ここは,(2)の解を$L\rightarrow\infty$とするのが正しい.

(4)は難問.たぶん,ネットでも類題は見つからないのでは? 問題文のヒントを使い,位置\(y\)にある線電荷が作る電場を求めれば

\begin{eqnarray} \rd E = \frac{\sigma \rd y}{2\pi \epsilon_0 \sqrt{d^2+y^2}} \end{eqnarray}

(2)と同様,対称性の議論から電場は\(z\)成分のみをもつことは確実で,

\begin{eqnarray} \rd E_z = \frac{\sigma d\rd y}{2\pi \epsilon_0 ({d^2+y^2})} \end{eqnarray}

これを\(-L\)から\(+L\)まで積分すれば解を得る.不定積分は大変だが,問題文に与えられているので,それを使えば良い.

\begin{eqnarray} E_z &=&\int_{-L}^{+L} \frac{\sigma d\rd y}{2\pi \epsilon_0 ({d^2+y^2})}\\ \nonumber &=& \frac{\sigma }{2 \pi \epsilon_0}\left[\tan^{-1}(y/d)\right]_{-L}^{+L}\\ \nonumber &=& \frac{\sigma}{\pi \epsilon_0}\tan^{-1}(L/d) \end{eqnarray}

この問題にも,どこかに参考文献があったことが驚き.それゆえ,多くの解答が2重積分で答えを求めようとしていたが,これは悪手.(3)の解から出発するのがレポートの解答としては美しい.

(5) \(L\)を無限に大きくしていくと,\(\tan^{-1}\)は\(\pi/2\)に近づく.したがって解答は

\begin{eqnarray} E_z &=&\frac{\sigma}{2\epsilon_0} \end{eqnarray}

予想通り,(1)の解と一致した.

全問正解をA,3問正解をBとして,細かい評価で+/-を付与.A+が1名.

レポート課題2 出題 06/27 〆切 07/11

平面内に置かれた電流素片と,その電流素片が面内に作るベクトルポテンシャルについて考える. 以下では電流素片は長さ$\rd s$の小片と仮定し,$r$は$\rd s$に比べ十分に大きいものとする.

(1) 図1に示すように,原点に置かれた電流素片が点P$_1(r, \theta)$に作るベクトルポテンシャルを求めよ.
※ベクトルポテンシャルがベクトル量であることに注意せよ.
図1

(2) 図2に示すように,原点から$+\rd s/2$,$-\rd s/2$離れて置かれた2個の電流素片が点P$_2(x, 0)$に作るベクトルポテンシャルを求めよ.
※教科書p211からの議論を参考にするとよい.
図2

(3) 図2に示す電流素片が点P$_3(r, \theta)$に作るベクトルポテンシャルを求めよ.

(4) 図3に示すように,原点に置かれた,1辺$\rd s$の正方形のループ電流$I$が点P$_4(r, \theta)$に作るベクトルポテンシャルを,(3)の結果を使い求めよ.
※答えは計算するまでもなく明らかであるが,(3)の結果をどう使うかを見たい.
図3

(5) 図3に示す正方形のループ電流が面内に作る磁場を,(4)の結果を使い求めよ.


解答及び解説:

(1) ウォーミングアップ.教科書p179式(6.5)のとおり,$\displaystyle \vA=\frac{\mu_0}{4 \pi r} I\rd \vs$だが,ベクトルポテンシャルが$y$成分のみを持つのは自明.

答:$\left(\displaystyle 0,\frac{\mu_0}{4 \pi r} I\rd s\right)$

(2) $x$軸上のベクトルポテンシャルは$\displaystyle A_y = \frac{\mu_0}{4 \pi x} I\rd s$. あとは,教科書p211にあるように,これを$x$で微分し,$\rd s/2$を掛けて足す.

答:$\left(\displaystyle 0,\frac{ \mu_0}{4 \pi x^2}  I\rd s^2\right)$

(3) この辺からだんだんハードゲームになっていく.考え方は(2)と同じだが,$x$を$r$に置き換え,$r=\sqrt{x^2+y^2}$に注意して微分する.

答:$\left(\displaystyle0,\frac{ \mu_0x}{4 \pi r^{3/2} } I\rd s^2\right)$

ここで,$x/r$を$\cos\theta$に置き換えると以降の議論が簡単になる.

別解:$\left(\displaystyle0,\frac{ \mu_0}{4 \pi r^2 } I\rd s^2\cos\theta\right)$

(4) (3)の解を,そのまま90$^o$回転させて足せばよい.水平方向の電流素片ペアが作るベクトルポテンシャルは$x$成分のみを持ち,$\cos\theta$が$-\sin\theta$になることに注意する.

答:$\displaystyle\frac{ \mu_0}{4 \pi r^2 }I\rd s^2\left(-\sin\theta, \cos\theta\right)$

括弧の中が,「2次元極座標の単位ベクトル$\hat\theta$」になっていることに気づく.したがって,

別解:$A_r = 0$,$\displaystyle A_\theta = \frac{ \mu_0}{4 \pi r^2 }I\rd s^2$

(5) 2次元平面の回転は,面に垂直なベクトル量であることは自明.したがって円筒座標で計算する. 円筒座標の回転は教科書p279.

\begin{eqnarray} (\rot \vA)_z &=& \frac{1}{r}\left\{\Bib{(rA_\theta)}{r}-\Bib{A_r}{\theta}\right\}\\ \nonumber &=& -\frac{ \mu_0}{4 \pi r^3 }I\rd s^2 \end{eqnarray}

$I \rd s^2$を磁気モーメント$m$で置き換えれば,教科書の式(7.5)に$\theta=\pi/2$を代入したものに一致する.

ベクトルポテンシャルの方向にベクトル$\rd \vs$を使った解は,(1)のみはオーケーで(2)以降は不正解.なぜだかよく考えてみよう.

基準点は,✕のないレポートがA,✕2つまでがB.書いた本人が理解していないと思われるレポートは減点.今回のレポートは,(5)の解が正しいかどうかは簡単にわかる点がポイント(教科書p214)だが,その点に言及したレポートはなかった.(5)が間違っていれば,当然(4)がどこか間違っているはずで,そうやって辿っていけば全問正解はたやすい.