絶版コレクション

CASIO fx-4800P

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メーカー CASIO 06/06/10初出
07/09/10補筆
11/10/07改訂
型式 fx-4800P  
実売価格 \7,330  
入力方式 数式通り  
角度モード [FUNCTION][6][数値]
[F<->E]キー [SHIFT][ENG]
メモリSTO [STO][A-Z]
メモリRCL [RCL][A-Z](SHARP方式)
√キー独立  
x^2キー独立  
1/xキー独立 ×  
BSキー  
4行のマトリックス液晶を持つ高級モデル.プログラムも組めるし,「ファイル」という概念もあるので,ポケコンに近い位置づけ.しかし,東海大では購買部に置いてあることからfx-991MSと並んで人気モデルなのでここで紹介する.

まず際だつのが値段の高さ.学生に聞くと「一番値段が高いものなら間違いはないと思って買った」という返事が返ってきたが,それは大間違い.このサイトを電卓購入の前に読んで,同じ轍を踏まないようにして欲しい.

この電卓で「できる」と謳っている機能のうち,卒業までの4年,あるいは一生のうちに実際に使うことがあるものはほとんど無い.プログラム,数値積分などはパソコンで出来るし,やるべきなのだ.そういう意味ではこのモデルは時代に取り残された「恐竜」と言ってもいい.

一方,4桁のマトリクス液晶は今でもまだ普及していないので,ここに付加価値を求めるなら,このモデルもアリだろう.直前の計算が常に表示されているというのはなかなか便利.

メモリ呼び出しの仕様も,CASIOの現行機種より便利なSHARP方式となっていることを指摘しておこう.メメモリのストア,呼び出し機能についてはコラム参照のこと.

このモデルをお薦めするポイントはもう一つ.市販モデルで唯一「複素数演算が使える」電卓,ということだ.ここで「使える」と「機能として持っている」は明確に違う.複素数の計算が使えるためには,最低でも「モード切替」無しに使えること,2行以上のディスプレイ,虚数単位[i]を入力するボタンは必須.この電卓はそれらを備えている.

しかし,複素数の計算で出来るのがせいぜい加減乗除程度.「電磁気学II」の課題で出したように,複素数の三角関数は大学では大切な概念なのだが,これができない.せっかく,複素数をシームレスに扱えるインターフェースが有るのだからこれは惜しい.

このモデルの,関数電卓としての使い勝手の悪さを二つ指摘しておこう.一つは「ラストアンサー」.CASIO関数電卓は伝統的にこれが[=]の隣の大変使いやすい位置にあるのだが,本機は[(-)]キーの裏にある.これは残念.もうひとつは階乗演算機能.直接割り当てられたキーは無く,[FUNCTION][1][5]という深いところにある.階乗演算はフーリエ変換やテイラー展開などで使われる,大学教育では重要な関数なのでこれは痛い.

※複素数の三角関数が出来る電卓は国産品では皆無.