Endo Lab

東海大学理学部 遠藤研究室

「1枚の写真」

2018/06/17 本を書きました

法則がわかる力学」(裳華房)を上梓した.力学の教科書を書くことは,ずっと前からの宿題だった.電磁気学と並び,力学ほど多くの教科書が揃う学問は無いだろう.しかし,講義で使うとなると,他人の書いた教科書はやはり使いにくい.基本的な,「何を教えたいのか」が違うからだろう.本書の特徴は,いわゆるニュートンの三法則に関する記述に集約されている.

 ここで,三法則それぞれの役割について説明する.第1法則は,第2法則で F=0 の特別な場合に過ぎないと思われがちだが,これは「第1法則が成立する座標系が存在する」という宣言である...第2法則がニュートン力学の根幹をなす基礎方程式を与える.ここで「力とはなにか」という疑問が湧くが,「力」の定義こそが第2法則で与えられるもので,「力とは,質量を加速させるものである」というのがその答である...では「質量とは何か」という疑問に答えるためには,第3法則が必要となる.第3法則は,2つの質点の相互作用を考えることにより,質量の大きさを規定できることを示している.例えば,静止した質量m1の質点と質量m2の質点が斥力を及ぼしあうと,これらは互いに遠ざかるように加速するが,その加速度の比率は第2法則と第3法則によりm1a1 = −m2a2の関係があることがわかる.ここから,ある基準の質量を決めればあらゆる質量が基準の何倍か定義可能で,質量が定義されれば力が定義され,質点の力と運動に関する法則が完成する.

 本書は,極座標表現を極力使用しない,力学の教科書としては初歩的なものである(価格も抑えた).このレベルの教科書で,運動の法則に上述のように正面から向き合ったものを私は知らない.